10/16 劇場版『四畳半タイムマシンブルース』生コメンタリー上映会イベントレポート!

劇場版『四畳半タイムマシンブルース』の生コメンタリー上映会が10月16日(日)に立川シネマシティで行われました。

ファンでいっぱいの会場内に夏目真悟監督、山代風我副監督、そして進行を務める尾崎紀子プロデューサーが登場すると、会場からは大きな拍手が。まずは夏目監督が「今日はたくさんの方に来ていただいてすごくうれしいです。なかなか上映しながら生のコメンタリーをやることがないので。今日は裏話や演出意図、(原作原案・脚本の)上田誠さんや、(キャラクター原案の)中村佑介さんとのやりとりなどもお話しできたらと思っております」とあいさつすると、山代監督も「こういう機会ははじめてで。緊張して眠れませんでした」と笑顔で続けました。

上映前の舞台あいさつを終えた3人は、マイク片手に最前列の客席に着席し、スタンバイ。場内が暗転すると、いよいよ上映開始です! 冒頭こそ「いったい何を話せばいいのか……」と若干戸惑いぎみの夏目監督たちでしたが、コメンタリーを進めていくうちに、徐々に肩の力も抜けて、リラックスムードになってきました。

映画を鑑賞したお客さまからも「ヒロインの明石さんがかわいい」という声が数多く届いている本作。「四畳半神話大系」から本シリーズに携わっている尾崎プロデューサーも「これは森見登美彦先生もおっしゃっていたことなんですけど、『四畳半神話大系』を原作からアニメ化するにあたって、アニメの明石さんがかわいく見えたというところから、『四畳半タイムマシンブルース』の原作ではそのかわいさがより意図的に入っているとおっしゃっていました」と明かすと、夏目監督も「そこは意図的にやっていましたね」とその意見に同意していました。

 そこで「明石さんの横顔とかは意識されたんですか?」と尋ねた尾崎プロデューサーの質問に対して、「(明石さん役の声優)坂本真綾さんが、要所要所で「私」が明石さんを盗み見るようなアングルだとおっしゃっていたんです」と夏目監督が明かすと、尾崎プロデューサーも「“私”の視線と、観客の視線が重なるところがあると思うんですよね」とその意見に同意。さらに「中村(佑介)さんの絵って横顔がすてきだなと思っていて。バランスがいいんですよね。日本画っぽい雰囲気があるというか。平面の絵に合う」と夏目監督が続けると、尾崎プロデューサーも「一枚絵の強さがありますよね」と納得した様子を見せました。

さらに「『四畳半神話大系』の時は湯浅政明監督が一カ月くらい舞台となった京都に住んで。僕も一緒に行ったんですけど、今回のレイアウトはその時の資料とかも参考にしたりして。懐かしいなと思って、感慨深いですよね」としみじみ語る夏目監督。本作のスタッフの中にはアニメ版の「四畳半神話大系」が好きで、自主的に参加したという人もいたそうで、「とにかく作品自体が愛されていて。作り手の中にもそういう人がいるんだなと思いましたね」と語る夏目監督に、尾崎プロデューサーも「皆さん、作品が好きな人たちなので、(作業的にも)話が早いというところもありましたね」とコメント。さらに夏目監督が「今回ラッキーだったのが、『犬王』が終わって。『平家物語』が終わってというところで、制作のサイエンスSARUを中心に演出も進行も優秀なスタッフが集まった。みんな勘が良くて、こんなに楽だったのは初めてですね」と満足げに付け加えました。

そしてその後も、「サマータイムマシン・ブルース」の舞台版、映画版に続き、本作にも“未来から来た田村くん”役を演じたヨーロッパ企画の本多力さんの話や、劇中に登場するコカコーラ、ヴィダルサスーンの話、音楽を担当した大島ミチルさんの音楽の話、主人公たちが通う銭湯オアシスのモデルとなった銭湯源湯の話など、画面に映る数々の事例について裏話を明かす登壇者たち。コメンタリーは大盛り上がりのうちに幕を下ろしました。

映画上映後、再びステージに登壇した夏目監督は「今日は皆さんと一緒に観られて良かったです。公開されてから映画館で観たのは初めてでしたが、いいものですね。今日は、こんな感じで作っているのか、ということを感じてもらえたらいいなと思いながら話しました。この作品もいろんな人に観ていただいて。レビューもいろいろといいことを書いていただいてすごくうれしいですし、スタッフもそれを励みにしているので、今後ともよろしくお願いします」とあいさつすると、山代副監督も「自分も実はまだ劇場で観ることができていなくて。どうしても作った後ってチェックという感覚があって。作品としてなかなか観ることができないんですが、今日はちゃんと観ることができて良かったなと思いました。ありがとうございます」と続け、さらに尾崎プロデューサーも「今日聞けなかった話もいろいろあるので。また別の機会があれば」とあらためて次の生コメンタリーを望むひと幕もありました。